最後は、「習慣」の引き算についてです。
よいとされる習慣を増やすのはもちろんですが、「病気にならない」という視点ではむしろ、健康を脅かす習慣を引き算する方が効果が大きいことも。
残念ながら、良し悪しの習慣で「帳尻合わせ」ができないのが、健康管理の真実です。
周囲が驚くような極端な習慣は、病気やトラブルにつながる可能性大。
甘党、辛党、左党(酒飲み)? 喫煙??
これらの魅惑は抗いがたく、ほどほどって難しい・・・
まずは「ほどほど」をめざし、「ほどほど」にできそうにない場合の、『キッパリとやめるタイミング』も決めておく。やめられないことは「プチ依存症」のリスクがあるからですね。
「依存症」とは、もはや自分ではコントロールできない状態のこと。
だからもう、自分の意志でやめることは不可能な状態です。
意思が強い・弱いの問題ではありません。
これをよく理解して、もしどうしてもやめられないなら、専門家の力を借りることをためらってはいけません!
と、思っています。
「プチ依存症」はない?
「プチ依存症」は意外に身近
- 病因」になりうる『偏った嗜好』『習慣』を認識し、ほどほどな習慣にする
- 「ほどほど」になりそうにない場合の、キッパリやめるタイミングを決めておく
塩・糖・アブラ、摂り過ぎがよくないと言われながらも「おいしい」ので、とりこになる。
例えば塩も、科学的に依存性があると指摘されていることを、関連記事で触れてきました。
『食⑥【徹底解説】なぜ『減塩習慣』か、血圧だけじゃない「塩」の恐怖』
「糖」の依存性については、本記でとりあげています。
- 「依存性がある危険なもの」(食品、薬品類)検索結果は、圧倒的1位「ヘロイン」
- 「アルコール」「ニコチン」が2位、3位になっている論文・研究が少なくない
成分そのものでは、依存性・致死率などで「コカイン」「覚せい剤」など、ドラッグ類が上位を占めていますが、例えばアルコールの場合、
- 攻撃性を増加させる作用によるケガや暴力沙汰の増加
- 入手の容易性から発生する家族関係の崩壊
- 広く普及しているため経済的負担が大きい
このように、社会的に広く他人への負担を与えるため、ワーストにあがってくることが多いそうです。
タバコは、本人にとっては毒性があるものを全身の血管に巡らせるので肺だけでなく、血管へのダメージが大きい他、今やよいところを挙げられないくらい、やめた方がよい筆頭になっている嗜好品ですね。
周囲に対しては、副流煙(タバコから出る煙)の害が指摘されています。
昨今「マイルドドラッグ」ともいわれるのは「砂糖」
確かに生理的に、砂糖は血糖値をガバっと上げて脳に快楽をもたらし、幸福感を与えてくれる。まさにドラッグ作用に近い性質がある。しかも、私たちの身近にあり、年齢制限もなく、手軽に、安価に、誰にもとがめられず手に入る。
今は、ストレスフルな時代です。
ちょっとしたリラックス法であったはずが、何らかの強いストレスで依存的になる・・・
「食べる」=最も手軽なストレス解消法
「プチ依存症」は、意外に身近。
血糖値があがってきたのに、甘いものがどうしてもやめられない。
これも立派な、プチ依存症です。
「ほどほど」にできない・・・。
誰にでも起こりうる「プチ依存症」「依存症」の芽は、「こうなったらキッパリやめる」を決めておき、引き返せるようにしておくことが「依存症」まで進行させない『最後の砦』になるようよ。
「プチ依存症」の見分け方
アルコール(お酒)の場合、2日間、お酒を抜いてもへっちゃらですか?
ニコチン(たばこ)の場合、吸えない環境なら、吸わないでも問題なく過ごせますか?
砂糖の場合、スイーツ(甘いもの、甘い飲み物)なしで1日過ごしても何の変化もないですか?
(だるいとか、無性に甘いものが欲しくなるなど)
あるいは、甘いものを食べた後に眠くなったり、だるくなったりしないですか?
☞各種、負担をかける臓器を休め、体を長もちさせる
抜けなくなったら、「プチ依存症」のサインです。
「プチ依存症」は『キッパリやめる』タイミングを決めておく
病因になりうる悪習慣は「キッパリやめるタイミング」を、コントロールができるうちに決めておく
まずは何が悪習慣なのか、という「自覚」。
どんな習慣がよくないのかについては、40代を過ぎたら自分から情報を集めていく必要があると思います。
健康については、学校などで体系的に学ぶ機会が少ないため、情報の個人差がかなり大きいですね。
ひとつのアンテナは、主観的な「体調」です。
体調がすっきりしないのなら、なんらか見直すべき習慣があるかも。
そして、周囲の指摘。
そんなに唐辛子かけるの?! 醤油かけるの?! 飲み過ぎじゃない?! など、驚かれること。
『こっそり』食べたり、飲んだり、やったりしていること。
そして、検診結果。これはもう、明らかな黄色~赤信号です。
年齢とともになんらかの健康数値があがるのは、ある意味当たり前なのでそんなにナーバスになることはないのですが、そこに思い当たる悪しき習慣があるのなら! ここが最後の砦(キッパリやめるタイミング)かな、と思います。
「やめられない」「やめられない」といつも頭にこびりついていると、それが脳ストレスになってなおのこと、やめられないので、小さなルールをつくってその範囲で楽しみ、ルールが守れなくなったとき「キッパリやめる」というやり方もいいと思います。
例えば酒量が多くてプチ依存症かな、と感じている場合。
・18:00以前は飲まない。がまんできなくなるようだったら、やめる
・お酒に関する肝臓系健康数値が上がってきたら、やめる
・ストロング系酎ハイはやめる
最近、ストロング系(アルコール度数が高い)チューハイでの依存リスクを指摘するドクターが多くいらっしゃいます。飲みやすくて、安いというのが『闇』のようですね。
マイルドドラッグ「砂糖」を深堀り
「砂糖」に依存してしまう強烈なしくみ
「砂糖」の依存性を深堀しておきます。
「お酒」や「たばこ」のように目に見えて「悪者」でないところ、とても身近で安く手に入るあたりも依存的になりやすいトラップです。
「砂糖」をおいしいと感じるのは、0.5~80%と、個人差が非常に大きい
血糖値が上がることは「脳」の快楽(糖は脳の唯一の栄養素)
「脳」の快楽こそが、依存性の最大の要因
- (砂糖を食べて)急激に血糖値があがると急激に血糖値が下がり「低血糖症状」を引き起こす
- 低血糖状態から脱するために、強く「甘いもの」を欲する
- 強く欲していた分、糖分を口にすると強い満足感、快楽を覚える
- 血糖値をコントロールするために膵臓が「インスリン」というホルモンを出し続け、疲弊する
- ついに「インスリン」コントロール能が低下して血糖値がコントロールできなくなると「糖尿病」になる
- 「糖尿病」はひどくなるまで自覚症状がでないため、「甘いもの」がやめられず悪化のリスクが非常に高い
- 「糖尿病」は運動療法が非常に有効だが(筋肉が糖の70%を代謝している)、運動習慣がなかった人は運動が続きにくい
- 「糖尿病」は腎臓、網膜(眼)、最近では「認知症」との関わりが指摘されている
- 「糖尿病」あるいは、血糖値が高い状態は体の中を「炎症」状態にし、万病の元になっている
ここまでになってしまってはかなり深刻なので、だるさや眠気が抜けないあたりの黄色信号をキャッチしておきたいですね。
さらに深刻なのは「果糖ブドウ糖液糖」
血糖値のアップダウンという観点、あるいは「耐糖能(血糖値をコントロールするチカラ)」への影響を考慮すると、清涼飲料水や加工食品の甘味として多用されている「果糖ブドウ糖液糖」の摂り過ぎは「砂糖」よりも、もっと深刻。
『果糖ブドウ糖液糖』は「ブドウ糖」と「果糖」とが半々。
「ブドウ糖」は血糖値を上げる、「果糖」はブドウ糖の10倍、老化・炎症因子(AGEs)生成を早める、腸内細菌の悪玉菌が大好きな糖なので腸内環境悪化、というトリプルパンチです。
コストが非常に安いため、(甘味として)入っていない加工食品を見つける方が難しいくらいです。
栄養ドリンク、美容ドリンクにもけっこうな確率で使われているから、要注意。
少なくとも「常飲」する習慣はやめた方がよいと確信しています。
『食⑤【徹底解説】なぜ腸内細菌の『菌活』が必要か&菌活・腸育習慣術』
これだけは絶対に避けたいこと
最低限、これだけは「今すぐ」やめた方がいい! を、まとめますね。
- 空腹時(食前)に、砂糖・果糖ブドウ糖液糖などがたくさん入っているものを飲む、食べる習慣
- 食事替わりのスイーツの習慣(これは絶対にやめた方がよい!)
- 砂糖・果糖ブドウ糖液糖が入っている飲み物の常飲習慣
- 代替甘味料多用・多飲する習慣(「耐糖能(血糖値をコントロールするチカラ)」に影響する)
- 朝食あるいは昼食はいつも菓子パン、食後はいつもスイーツ、夜は必ずご褒美スイーツ、などの習慣
「嗜好性」は積み重なるほど強硬になる。
「今回だけ」と羽目をはずすと、次回はもっとがまんできなくなるのが「嗜好品」。
食べだしたら(口にしたら)やめられない、というものは、すでにプチ依存症である率高いかも、です。
修正すべきは「習慣」になっていること。「たまに」というものは問題ないです。
「砂糖」「果糖ブドウ糖」摂取習慣の修正法
- 甘味を「はちみつ」「メープルシロップ」「甜菜糖」など、自然の甘みに変える
- 「玉ねぎ」「かぼちゃ」など、甘い野菜を増やす
- しっかり「ご飯」(炭水化物)を食べる
これは、マクロビオティックで学んだ方法です。
糖類は、糖の最小単位を軸に、他の糖類などとくっついてさまざまな種類が存在します。
要は、徐々に分子が大きい糖に移行して、血糖値のアップダウンを穏やかにしましょうね、という方法が、味覚の修正方法です。
- 【単糖】糖の最小単位:数分で吸収される
ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトース - 【二糖類】最小単位の糖が2つくっついたもの:10分~1時間で吸収される
ショ糖(砂糖)、ラクトース(牛乳など)、トレハロース(サツマイモなど)、マルトース(水あめなど) - 【糖質】炭水化物から食物繊維を除いたもの(糖の鎖が長い):吸収まで3~4時間
デンプン(米、麦、穀物の食物繊維を除いた部分)、グリコーゲン(動物性食品)、糖アルコール(キシリトールなど) - 【炭水化物】糖の鎖が長い糖質+食物繊維:吸収まで5~6時間
米、麦、穀物などそのもの
少しづつ炭水化物に移行させ、血糖値のアップダウンを穏やかにしよう
「糖質制限」が大注目の昨今ですが、「炭水化物」をきちんと摂取することで「反動で甘いものを食べ過ぎる」など、食欲の暴走を防止することができます。
出汁(だし)を飲んでうま味を感じる舌にすることで、味覚を変える。
というダイエット本を出しているドクターもいらっしゃいますね。
効果がある・ないは、個人差がとても大きいので、いろいろと試してみると良いと思います。
まとめ
✐『病因』になりうる「偏った嗜好」「習慣」を認識し、「ほどほどな習慣」にする
✐誰にでも起こりうる「プチ依存症」。「依存」=「コントロールできない状態」なので、『こうなったらキッパリやめる』を決めておき、引き返せるようにしておく
✐依存性がある嗜好品は、ときどき「抜く」(デトックス)期間をもってみる、各種、負担をかける臓器を休めてカラダを長持ちさせる。抜けなくなったら「プチ依存症」のサイン
✐マイルドドラッグとまで呼ばれる「砂糖」は、一見悪者に見えず、安価で手にしやすいが強固な依存性をもっている。血糖値のアップダウンが穏やかになるように、習慣を修正していこう
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ぜひまた、お会いしましょう(^_-)-☆