食⑦【徹底解説】骨だけじゃない、『カルシウム』不足習慣の真の恐怖

 
今回は「カルシウム」のお話です。

「カルシウム=骨のために必要」、閉経後にガクっと骨密度が減ってしまう「女性」が気にするもの、というところで知識が止まっていませんか?

なぜヒトは、こんなにも大量に骨にカルシウムを蓄積しているか。

絶対に絶対に、血液中で不足してはいけないからです。

だから血液中でカルシウムが不足すると、骨からカルシウムが溶出される。

「過剰」に。

この過剰なカルシウムの怖さを確認するのが、本記事です。

必見💀

 

なぜ、骨にカルシウムが多量に蓄積されているのか

骨イメージ画像
ヒトは、生命を維持するために「カルシウム」が欠かせないからこそ、『血液中のカルシウム濃度を厳重に維持するしくみ』をもっている

これが、骨や歯にカルシウムを蓄積し、足りなくなると溶出する本質です。

血液中のカルシウムが不足すると、筋肉、神経系が痙攣をおこして死にいたる。

他にもカルシウムには、実にさまざまな働きがあるようです。

  • ホルモンの分泌、血液の凝固、筋肉の収縮、神経の伝達など、カラダのあらゆる機能を調節する大事な役割を担っている
  • 抗肥満、HDL(善玉)コレステロール増加効果、血圧低下効果などがある
  • 大腸がんの発生を抑制しているという報告がある(国立研究センター)(※)

(※)カルシウムを多く摂取する男性(1日700mg以上)は、少ない男性(1日300mg未満)よりも、大腸がんの発生リスクが40%近く低いという研究結果。カルシウムの吸収を助けるビタミンDも多くとっている人は、さらにリスクが低かったとのこと。カルシウムは腸管の細胞を刺激してがんの発生を促進する二次胆汁酸を吸着したり、細胞の増殖や分化に直接作用したりして、大腸がんの発生を抑制していると考えられている。男性にだけこのような結果がでたのは、女性は意識してカルシウムを摂取している反面、男性は極端に摂れていない人が多かったためとのこと。


カルシウム不足がもたらすのは「血液中に過剰なカルシウム溶出」、これぞ悪玉

骨の画像
血液中にカルシウムが不足して補充するために骨からカルシウムが溶出される際、ちょうどよい量ではなく、過剰に溶出する

どのような悪さをするかというと・・・

  • 尿中に入ると「結石」をつくってしまう
  • 血管壁に取り込まれて壁を収縮させ、血圧が上昇する
  • 血管に沈着して石灰化し、動脈硬化を引き起こす

「尿路結石」は、3大激痛疾患です。

過度な肉食、肉食に対して野菜の摂取が少ないと尿が酸性に偏り(動物性たんぱく質は酸性、野菜類はアルカリ性)、そこへカルシウムが入ってくると「尿路結石」や「シスチン結石」をつくる。

尿が酸性に偏っていなくても、アルカリ性であるカルシウムが大量に入ってくると、尿はアルカリ性に偏り「リン酸カルシウム結石」「リン酸マグネシウムアンモニウム結石」などをつくってしまう。

肉食で野菜が少ない食習慣の人なんてざらにいますね?  

体感的にも身近でよく聞く疾患であり、その恐怖についてはわが夫、息子にもよくよく言い聞かせています。


摂取不足だけじゃない、今の食生活はカルシウムを排泄しやすい

食材pH画像

カルシウム摂取が多い国は、フィンランド、スウェーデン、イギリス、アメリカ、ニュージーランドなど、酪農が盛んな国々。

日本人の倍以上のカルシウムを摂取しています。

ところが、特にアメリカ、ニュージーランド、スウェーデンなどの骨折する人の割合(足のつけ根・大腿骨で骨折した人の割合)は、日本人の倍以上という結果。

その理由は、

  • カルシウムに加えて「動物性たんぱく質」の摂取も多い
  • 動物性たんぱく質の「酸性度」を中和する野菜(アルカリ化する)の摂取が少ない
    (WHOより)

動物性たんぱく質に含まれる「含硫アミノ酸」「メチオニン」「システイン」など、酸性のものが骨のカルシウムを流出させることが知られています。その「酸性」摂取量に対して、アルカリ化させる「カリウム」を含む野菜の摂取が少ないから骨からカルシウムが流出して弱くなり、骨折しやすくなっている、と指摘されています。

  • 「酸」を中和するために骨(カルシウム)が使われているという知見がある
  • 酸性が強い「動物性たんぱく質」、あるいは「砂糖」などは『骨どろぼう』といわれる
  • 「塩」は、『骨どろぼう』といわれる「動物性たんぱく質」「砂糖」などよりももっとカルシウムを排泄させる!

さらに、

ストレスによって、カルシウムとマグネシウムは排泄されてしまう
※西牟田守他、(1998)マグネシウム、7,123-132

まさに、今の私たちの食生活は、カルシウムを排泄しやすいといえそうです。


カルシウム摂取と吸収促進させる方法

カルシウム食材画像
30~74歳までのカルシウム摂取推奨量(日本人の食事摂取基準2020年版)

男性 750mg/日
女性 650mg/日

平均摂取量(2019年国民健康栄養調査)は、

40~49歳 男性442mg 女性441mg
50~59歳 男性471mg 女性472mg
60~69歳 男性533mg 女性539mg

こんなに少なかったっけ??(私の記憶の、印象です)

ちなみに日本人は乳類からの摂取が最も多く、次いで野菜類、豆類、穀類、魚介類の順になっています。(国民健康・栄養調査2019年)

カルシウムは吸収率が悪いことでも知られているミネラル。食材別に吸収率が異なり、乳製品は吸収されやすいと言われていますね。

  • 「乳製品」吸収率約40%
  • 「アブラナ科の野菜」カルシウム吸収を助けるビタミンKを含み乳製品程度の吸収率
  • 「小魚類」吸収率約33%
  • 「大豆・大豆製品」吸収率約18% 
    ※大豆加工品の体内利用効率は乳製品と変わらないという研究もある
    大豆製食品のカルシウム生体利用効率https://www.fujifoundation.or.jp/report/pdf/031/31_02.pdf

下記添付の記事で、日本食品標準成分表2020年版(八訂)掲載食品1食分のカルシウム多い順を算出し、これらの吸収率をかけてみましたが、結論、吸収率が影響しているというよりは(吸収率を掛けて、カルシウム吸収想定量を算出しても順番は変わらない)、そもそもその食品がどれくらいカルシウムを含有しているか、どれくらい多く食べる食品か、が摂取量を確保するカギでした。

牛乳はコップ1杯200ml飲む(1回の摂取量が多い)から、多くのカルシウムが摂れている。

ちなみに、カルシウム摂取推奨量は、最も低い吸収率を想定したカルシウム量なので、素直に推奨摂取量をめやすに摂取していれば大丈夫です。

↓↓↓こちらも、ぜひご参照くださいね!
〇【カルシウム】何をどれだけ食べたらいいか丸わかり、食材1食分含有量

チーズは酸性度が最も高い部類に入るので、要注意です。それを中和するアルカリ性度が高い野菜類を十分に食べないといけないようです。

※食品の腎臓への酸性の負荷を示す指標として「PRAL値(Potential renal acid load)」という算出法があり、これが食品の「酸性度」「アルカリ度」の指標となっている。

アブラナ科の野菜

キャベツ、芽キャベツ、ケール、ブロッコリー、カリフラワー、小松菜、水菜、青梗菜、白菜、ルッコラ、クレソン、大根、蕪、わさび、ターサイ、菜の花、高菜、辛子 など

アブラナ科の野菜を多く食べている人は死亡リスクが低い、また、豊富に含まれる辛み成分「イソチオシアネート」の抗酸化、抗炎症、抗がん作用などが着目されています。
※JPHC研究(国立がん研究センターなどの研究チーム)

カルシウムが吸収されやすいミネラル比率

カルシウム:マグネシウム=2:1

カルシウムの比率が高くなりやすいので、マグネシウム摂取を積極的にすると吸収率がアップする

マグネシウムが多い食品

玄米、魚介類、果物、野菜、大豆、ナッツ、海藻など

吸収促進に必須なのは「ビタミンD」
ビタミンDが多い食品

魚類、キクラゲ、天日で干した椎茸・エノキダケなどのきのこ類
卵・乳製品を含む動物性食品に少々

椎茸、エノキダケは食べる前に30~1時間日光に当てるとビタミンDが10倍になる

生椎茸、エノキダケは、「エルゴステロール」という成分が紫外線に当たることでビタミンDになります。食べる30~1時間前に傘の下側を上に向けて天日に充てると、ビタミンDが増えます。

干椎茸はかつてビタミンDの王様でしたが、今は天日干しのものが少ないのであまり期待できないようです。でも! 生椎茸同様、3.5~10分ほど天日に当てると増えるそうです。
〇干し椎茸の干し方

私はまじめに干してマス、笑。

キノコを干している画像

「ビタミンDはカルシウムの吸収を高める」ではなく、「カルシウムはビタミンDがないと骨にならない」
これは、とても重要な「真実」です。
「あればなお良し」ではなく、「ないとダメ」なのです。

とても重要な栄養素ですから、ぜひ以下の記事で何からビタミンDが摂取できるのかチェックしてみてください。

ビタミンDは、「限られた食材からしか摂取できない」ちょっと特異なビタミンであり、日本人の男性93%、女性88%が不足ないし、欠乏しているというデータがあるほどです。

↓↓↓ぜひ、ご覧ください。
〇【ビタミンD】何をどれだけ食べたらいいか丸わかり、食材1食分含有量

他に、カルシウムが骨に取り込まれて骨の形成を促したり、カルシウムが尿中に排泄されるのを抑え、骨の破壊を防ぐ「ビタミンK」骨質(骨の丈夫さ)に関わるコラーゲンの劣化を防ぐ「ビタミンB6」「B12」「葉酸」コラーゲンの材料となるのがたんぱく質などの摂取も重要とされています。

「ビタミンK」は腸内細菌がつくってくれるので、抗生物質の長期使用で腸内環境が悪くなっている、加齢で吸収が悪くなっている、関連臓器に病気がある、などでない限り不足することはほとんどないとされていますが、先に出てきたアブラナ科の野菜、海藻類、鶏肉類、植物油などに多めに含まれている。そしてなにより納豆にたいへん多いので、納豆を食べる習慣があればまず、問題なさそうです。

 
MICHIKO★
ちなみに、わが家の「カル活」。
・冷凍庫に「上乾じゃこ(※)」、調味料のように頻度高く使用

・「干しアミ」も同様、卓上にあり、何にでもかける
・アブラナ科の野菜多用
・サバ缶愛用(1ケース購入し強制的に消費!)
・キノコは干してから使う
・おやつはチーズ、アーモンド
・大人になってからは「牛乳」も飲むようになった(豆乳派でした)
(※)「上乾じゃこ」とは、よく乾かしてあるじゃこのこと。冷凍してもくっつかないので使いやすい。

骨粗しょう症、現状の復習

骨粗しょう症画像
骨粗しょう症 日本の患者数は、

女性980万人、男性300万人
(骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン2015年版 一般社団法人骨粗しょう症学会)

50代女性 9人に1人
60代女性 3人に1人
80代女性 2人に1人

女性に骨粗しょう症のリスクが高いのは、閉経(50歳前後)にともなって「エストロゲン」という骨形成を助けてくれる女性ホルモンが急激に減少してしまうため。

「最大骨量」は成長期に決まるので、第1段階としてはここでいかに増やしておくかが非常に大事です。

でも、多くの方はもう過ぎちゃってますね (^^;)

大人になったら「いかに骨密度維持をするか」、です。

骨は生まれ変わっていますが、筋肉のように「やれば必ず増える」イメージではなくて、骨を増やそうと思って骨にいいことをいっぱいやって、維持できるか、少し増えるか。
後述しますが、カルシウム・ビタミンD摂取量を増やすだけでは骨密度はあがりそうにありません。

気を引き締めていく必要が、ありそうです。

改めて、成長期での、もちろんその後も、無理なダイエットは本当に怖いです・・・。

ボンラビ https://www.mbp-labo.com/healthcare/article04/
雪印メグミルク 骨ちょっといい話https://www.meg-snow.com/hone-goodstory/knowledge/basic/#metabolism

運動のススメ、骨になるには刺激が必要

骨×運動画像
骨をつくるのに有効な運動の目安は、ジャンプ程度の「衝撃」

カルシウム・ビタミンDなど栄養素の摂取だけでは、骨づくりは片手落ち。

刺激を与えることで骨の中の細胞が活発になり、骨量が増えるのです。

加齢とともに関節を痛めたり、かえってけがの要因になるので運動は安全第一の負荷で

負荷をかけられる極力早い時期から、運動習慣を身につけたい

骨を強くすると同時に、転ばないようにバランスを保つチカラや、俊敏性の維持も必要

やっぱりカラダを動かす習慣は必須のようですね。

ああ、その前に。
大前提、今の骨密度を確認しておいた方がいいですね。
検診センターや整形外科で計ってもらえます。私が使っている検診センターでは「オプション」で¥2200(税込)でした。

きょうの健康 - NHK

体に衝撃を与える運動は、骨密度を高める一方、高齢者にとっては骨折のリスクも。そこで自宅で安全にできる運動を実演して紹介。…


まとめ

✐命を保つため、血液中のカルシウム濃度を一定に保つことが必須だから骨に多量のカルシウムを蓄積している

✐カルシウムにはさまざまな働きがある

 ・ホルモン分泌、血液凝固、筋肉収縮、神経伝達など

 ・抗肥満、HDL(善玉)コレステロール増加効果、血圧低下効果など

 ・大腸がんの発生を抑制しているという報告も

✐カルシウムが不足すると、血液中に過剰なカルシウムが溶出される

 ・尿中に入り「結石」をつくる

 ・血管壁に取り込まれて壁を収縮させ、血圧が上昇する

 ・血管に沈着して石灰化し、動脈硬化を引き起こす

✐カルシウムは摂取不足の状態だが、現代人の生活はカルシウムを排泄しやすい

 ・動物性たんぱく質(カルシウムを奪う酸性)摂取が多く、野菜(酸度をアルカリ化して中和する)が少ない

 ・酸性度が高いのは、動物性たんぱく質、砂糖、そして最も排泄させるのはナトリウム(塩)

 ・ストレスによって、カルシウムとマグネシウムが排泄されてしまう

✐カルシウムは吸収率が低いことを意識して摂取する

 ・乳製品(吸収率約40%)、アブラナ科の野菜 (吸収率約40%) 、小魚類(吸収率約33%)、大豆・大豆製品(吸収率約18% 体内利用率は乳製品と同等いう研究もある)

 ・マグネシウムを意識して摂取すると吸収率が上がる
  玄米、魚、果物、野菜、大豆、ナッツ、海藻など

 ・ビタミンDがカルシウムの吸収を促進する
  キクラゲ、天日で干した椎茸・エノキダケ、魚類

✐骨粗しょう症は60代女性3人に1人、80代女性2人に1人

 ・女性のリスクが高いのは、閉経にともなって女性ホルモン「エストロゲン」が急激に減少するため

 ・骨密度を決めるのは成長期。大人は維持することが大切

 ・骨密度維持のためには、カルシウム摂取、ビタミンD摂取、日光浴、運動が欠かせない

 ・50歳過ぎたら、毎年1回骨密度確認が推奨される


 
MICHIKO★
最期までお読みいただき、ありがとうございました!
また、次の習慣化でお会いしましょう(^_-)-☆
ぜひ併せてお読みいただきたい記事を添付しますね!
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