今回は、「主食」について。
「主」食です、主食になるのは、炭水化物(ご飯や麺類など)。
私たちのエネルギー源の60%前後を占めています。
この「主食」の攻略は、健康管理・体重管理の大きなかなめ。
論争続く?!「糖質制限」についても、その真相に迫ります!
糖質摂取量が少なすぎると死亡リスクが上昇する
もはや当たり前になっている「糖質制限」ですが、ご存じでしたか?
(*1)日本ローカーボ研究研究会
一般的な日本人の食生活では、1日に300gくらいの糖質を摂取していますから、基本的に不足の心配はありません。
気をつけるべきは、ダイエットの目的などで「糖質制限」しようとする時ですね。
しかも、ストイックに!
例えば、商品にマークもよく見るようになった、「ロカボ」(「おいしく楽しく適正糖質」を謳い、「耐糖能(血糖をコントロールするチカラ)」を守ろうという食スタイル提案 )では、「1日70-130gに抑える」。
※ロカボ https://locabo.net/about/
あるいは、もっとシビアに制限を推奨している書籍やサイトなどもありますね。
カロリーをもつ栄養素(エネルギー産生栄養素)は、「糖質(4Kcal/g)」「脂質(9Kcal/g)」「たんぱく質(4Kcal/g)」。
食事から得る「たんぱく質」はエネルギー源としてではなく、日々作り替えられている私たち自身のカラダのたんぱく質(筋肉や組織を構成する)に使いたいので、エネルギー調整の対象から外します。
すると、調整の対象は「糖質(4Kcal/g)」か、「脂質(9Kcal/g)」。
戦後直後、総エネルギー摂取量の5%程度だったアブラは高度成長期とともにグングン増え、高度成長期が終わったころをピークに25%前後になり、以後キープしているような現状です。
そして摂取しているアブラは、調味料として使うなど「見えるアブラ」は2割程度、8割はなんと、食材にくっついている、あるいは加工食品として使われている「見えないアブラ」(国民栄養調査より)。
(肉など、たんぱく質食材のアブラは要注意ですね!)
理屈的には、あるいは伝統的には体重コントロールをする場合「脂質」を減らしてきましたが、現代人のライフスタイルと嗜好性では、アブラよりも糖質を抑える方が楽なのかな、という印象です。
医療では糖質をシビアに制限する「ケトジェニックダイエット」というものが存在してきました。
摂取する糖質を制限することで、カラダのエネルギー源を糖質から脂肪(ケトン体)に切り替えて効果的な脂肪燃焼をさせる、というものです。
学生時代にこの知識を学びましたが、病的肥満の、入院時の短期的な治療法として学びました。
少なくとも長期にわたって自己判断で実施するのは非常に危険だと思っています。
いずれにしても、長期のシビアな糖質制限はリスクが高いといえそうです。
さて、「糖質制限」は今やダイエットのイメージが強いのですが、もともと近年の糖尿病の増加で提唱されてきた面があります。
しかし実際には、
日本人の糖質摂取量は減少し、摂取カロリーも減少しているのに糖尿病患者が増えている。
要因としては、
「運動不足」や、
高脂肪+糖質(洋食化)によって多量のインシュリンが必要になるところ、日本人はインシュリンが出にくいので負荷となり、糖尿病になりやすい。
などが指摘されています。
急激に血糖値をあげる加工品に頻繁に使われている甘味「果糖ブドウ糖液糖」や、日常的なスイーツ習慣で急激な血糖値のアップダウンも問題になっていますね。
このような習慣がある方は、ご飯を量る前にまずこちらの修正ですね(^_-)-☆
「食⑩【食育のキモ】『プチ依存・悪習慣をやめる時を決めておく』習慣術」
「主食」をちゃんと食べたい理由
「主食=糖質」のように扱われますが、主食は「炭水化物」です。
炭水化物とは、糖質+食物繊維。
「玄米」「全粒粉」などのホールフード(精米・精製されていない)なら、食物繊維豊富なうえ、ほぼ完全栄養食
※日本人の女性34人を対象にした食事調査の結果。食物繊維量に占める、各食品から摂取した食物繊維量の割合。(日本食物繊維研究会誌.1999;3(1):25-32)
「白米」であっても、食べる量が多いので、食物摂取源のNO.1になっています。
実際の摂取量は、40代男性13.5g、女性12・2g(平成29年国民健康・栄養調査)
ただでさえ足りていない食物繊維の最大摂取源を、ただただ減らすわけにはいきません。
食物繊維は、「第6の栄養素」とも言われています。
- 食べすぎ防止
- 糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を抑える
- 胆汁酸やコレステロールを吸着し、体外へ排泄する
- ナトリウム排出効果があり、高血圧予防
- 腸内善玉菌のエサになる
- 腸内環境改善
- 便通改善
- 有害物質を吸着して便と一緒に排泄、大腸がんのリスク軽減
野菜をもっといっぱい食べればいい?
もちろんYESですが、限界がありますよね、笑。
最も効率が良いのは、日常食においては、白米ではなく、できるだけ玄米にする。
ホールフード(精米・精製されていない)なら、ほぼ完全栄養食です。
だから、「主食」だったのですね。
「主食」で栄養価を補えれば、おかずが少なくてすみます。
白米を食べるなら、落っことしてしまった栄養価を、他の食材から摂取しなければなりません。
日常食の主食を「ご飯(米)」にしたい理由
日常食において「ご飯(米)」を主食にしたい理由は、
- 塩などを含めて、添加物なく食べられる
- ご飯(米)のような「粒」食は、小麦粉など「粉」食に比べて、食後の血糖値が上がりにくい
- 「グルテン」のリスクが避けられる
私は添加物などにあまりナーバスではないのですが、よく食べるもの、量を多く食べるものについては、気をつかった方がよいと思っています。
ということで、「主食」ですから、リスクはできるだけ避けるのをおススメします。
「グルテン」とは、小麦に含まれる2つのたんぱく質「グリアジン」「グルテニン」が、水を含んでネバネバした状態のもので、
- 腸の粘膜を傷つける
- 腸内にあるべき物質が分子レベルで漏れ出し、消化と吸収の作業が妨げられてしまう(リーキーガット症候群)
- 腸内の炎症物質が漏れだし、全身に炎症物質を巡らせてしまう
あるいは、次のようなリスクが言われています。
- 小麦アレルギー(アレルゲンはグルテン)
- セリアック病(欧米で多くみられる、主に遺伝性の不耐症。腸の粘膜に炎症が生じ、下痢、低栄養、体重減少になる)
- グルテン過敏
- グルテン不耐
歴史的にも、食文化的にも、欧米とは圧倒的に小麦を食べる量が異なる(日本の方が少ない)ので、欧米ほど当たり前のように「グルテンフリー」は言われていませんが、日本の食品でも「グルテンフリー」の表示をよく見かけるようになりました。
日常的な主食を「米」にし、ときどきパンや麺類を食べる分には(症状がない方であれば)、まったく問題ないと思います。
「食②【食育のキモ】太らない・健康・快調を叶える『日常食』習慣術」
-2.「日常食」ってどんなカタチ?
-2-1.太らない&万病予防の「主食の選び方」
本記事最後に添付しますね。
【本題!】太らない&万病予防になる「ご飯を量る」習慣、実践編
量るのはご飯だけ、あと脂っぽいものに気をつければざっくりとカロリー調整が可能なので、たいへん便利。
エネルギーをもっているのは「糖質」「脂質」「たんぱく質」の3つでしたね。
脂質は「見えないアブラ」が多いし、計量が難しい。
「糖質+脂質」で加速度的に体脂肪になるので、一方を控えてあげると体脂肪が増えにくくなります。
・脂質控えめの献立なら、ご飯150g(ふつう盛り)
「タニタ食堂」では、1食のご飯は100g(少なめ盛り)を推奨しています。
こちらの食事で約510Kcalとのこと。
脂質やや多め、ご飯100gの例です。
「聖路加国際病院」では、1食のご飯は150g(ふつう盛り)を推奨しています。
こちらの食事で約590kcalとのこと。
食材についているアブラは極力落とし、一人1食分でアブラ大さじ1/2までとしていますから、しっかり脂質を抑えている例といえます。
白米だと、上記2例のように品数が欲しいところですが、玄米であれば主菜、野菜多めの汁物だけでも。
※「菌活」の目的で、発酵食品の香の物があればなお、理想的!
ご飯100g(少なめ盛り)の糖質量は、38.1g 38.1g×3食=114g
ご飯150g(ふつう盛り)の糖質量は、57.2g 57.2g×3食=172g
だいたいこの幅内で量を決めていただければ、体重コントロールしやすいかと思います。
もちろん! 活動量に併せて増やしてくださいね(^_-)-☆
糖質は「ご飯」だけではありません。
甘いものはもちろん、調味料、野菜などにも含まれます。
ですから、ご飯プラスアルファになるので、ご飯をきちんと食べていれば、不足することはないと思われます。
物足りなく感じる、無性に間食を食べたくなる、いつも何かを食べたいと感じる・・・など、食欲が落ち着かないようでしたら、ご飯の量を増やしてください。
ご飯を減らした分を間食やスイーツで補いたくなってしまうような配分では、今後の長い体重管理、健康管理がしにくくなってしまうので、急激に血糖値をあげにくい「ご飯」で満たしてあげる、というイメージです。
※後述していますが、食欲の源としては血糖値をあげる「糖質」の摂取欲とともに、カラダ自体を構成する成分となる「たんぱく質」の摂取欲があります。私たちが生物として欲する栄養素を満たす食事でないと食欲は収まらないようだ、ということを頭に入れておきたいですね(^_-)-☆
やっかいなことに「体重」を指標にすると、スイーツや間食に比べて「ご飯」の方が重量があるので、体重が増えるような感じがあると思うのですが、血糖値を急激にあげない食スタイルにしておくということがたいへん重要です。
くれぐれも、ご飯と他の糖質をプラスマイナスして、糖質量の帳尻合わせしないでくださいね!
食物繊維、その他の栄養素が確保できなくなるうえ、マイルドドラッグ「砂糖」「果糖ブドウ糖液糖」などのトラップにはまります(記事最後に添付した関連記事でご確認くださいね)!
私は1食玄米110~120g。あえて150gにすることもあります。
まとめて炊いて、110~120gづつラップに分けてしまっています。
「タニタ」のデジタルクッキングスケールは、0.1g~3kgまで量れるので、これ1台で計量全てが完結し、とっても便利。
※「40代からの栄養術 20の黄金習慣」では、ご飯ともう1つ、塩分濃度を算出して味つけをする調理法をおススメしています。これ1台でどちらもカバーでき、体重管理、健康管理がグッと見える化できちゃいます!
以後、体重を管理するためには「活動量を増やす」
ご飯1食100g~150gは、糖質量をギリギリに落としている量だと思ってくださいね。
生涯の健康のために、また「代謝力」を落とさないために、これ以上は落とせない。
この後、加齢によるさらなる代謝の低下による体重増加については、活動量をあげるか、健康的な範囲内であれば、少しぽっちゃりめを許容するかが、生涯の健康・元気のためのおススメです(^_-)-☆
【重要!】糖質は絶対必須な栄養素
- 「食欲」コントロールに影響する
- 「長寿」に影響する
こちらの書籍は、「食欲のベースは、一定量のたんぱく質を摂取しようとする生物能」である、ということを昆虫、動物、ヒトなどさまざまな実験で突きとめてきたことをまとめたものです。
「たんぱく質」「糖質」「脂質」、食欲におけるこれら栄養素の関り、その結果(寿命)について解き明かしていくなかで、上記のとおり、生物の本能として絶対的に一定量を確保しようと食べ続けるのは「たんぱく質」。そして、活動・生殖においては「高たんぱく質・低糖質・体重維持」が有利であるが、長寿においては「適正たんぱく質・高糖質・ややぽっちゃり」が有利であることが示唆されていました。ちなみに、「適正たんぱく質・低糖質・高脂質」は最も短命だったそうです。
これは、ヒトにおいても「ちょい太(ぽっちゃり)」がいちばん長生きであるというデータと合致しているのが、興味深いところです。
長生きする、しないという議論ではなく、生物においてのエネルギー源として、糖質という栄養素が優れている、ということかと思います。
私たちの体重・健康管理において、たいへん参考になる書籍だと思います。ご興味あればぜひご一読を(^_-)-☆
まとめ
✐糖質の摂取量が150g/日以下で、死亡リスクが上昇
✐「主食」は炭水化物=糖質+食物繊維。食物繊維の最大摂取源になっている
✐食物繊維は、第6の栄養素
☞食べすぎ防止、糖質の吸収を緩やかにして血糖値の急激な上昇を抑える、胆汁酸やコレステロールを吸着して体外へ排泄する、ナトリウム排出効果があり、高血圧予防、腸内善玉菌のエサになる、腸内環境改善、便通改善、有害物質を吸着して便と一緒に排泄、大腸がんのリスク軽減 など
✐日常食において「ご飯」を主食にしたいのは、リスクが少ないから
✐脂質やや多めの献立なら、ご飯100g(少なめ盛り)≒糖質量114g
✐脂質控えめの献立なら、ご飯150g(ふつう盛り)」≒糖質量172g
✐「食欲」が収まらないようなら、ご飯の量を増やす。間食やスイーツで帳尻合わせをしない
☞「たんぱく質」など、他の栄養素不足による食欲増大も要注意
✐急激に血糖値をあげない糖質摂取の習慣化をめざす
✐これ以上、糖質摂取を抑えるのは禁!
今回は「日常食を8割にする」という習慣のご提案です。今の食生活、健康づくりを意識した日々の食事「日常食」と、嗜好・社交・文化を楽しむ「ご馳走食」が一緒くたになっていませんか?食事にメリハリをつけることでダイエットからも解放さ[…]
「20の黄金習慣」食習慣化の最終テーマ!最後は、「習慣」の引き算についてです。よいとされる習慣を増やすのはもちろんですが、「病気にならない」という視点ではむしろ、健康を脅かす習慣を引き算する方が効果が大きいことも。残念なが[…]
また、次の習慣化でお会いしましょう(^_-)-☆